テナント原状回復工事の流れ|退去から引き渡しまで

オフィスや店舗などのテナントを退去する際には、賃貸借契約の内容に基づいて、室内を元の状態へ戻す原状回復工事が必要になります。

しかし、原状回復工事は、退去日が決まってからすぐに始められるとは限りません。

契約内容の確認、管理会社との調整、現地調査、見積もり、工事申請など、事前に進めるべき作業が複数あります。

準備が遅れると、引き渡し期限に間に合わなかったり、想定外の追加費用が発生したりする可能性があります。

この記事では、テナント原状回復工事の基本的な流れと、退去から引き渡しまでに確認しておきたいポイントについて分かりやすく解説します。

テナント原状回復工事とは

テナント原状回復工事とは、退去するテナントが、入居時の状態を基準として室内や設備を元の状態へ戻すための工事です。

例えば、入居後に設置した間仕切り壁、造作家具、照明器具、電気配線、看板などを撤去し、床や壁、天井を補修します。

一般的には、以下のような工事が行われます。

  • ・間仕切り壁・パーティションの撤去
  • ・造作家具・什器・カウンターの撤去
  • ・床材・タイルカーペットの張り替え
  • ・壁紙・クロスの張り替え
  • ・壁や天井の補修・塗装
  • ・照明器具・電気設備の撤去や復旧
  • ・電話配線・LAN配線の撤去
  • ・空調設備・給排水設備の撤去や復旧
  • ・看板・サイン・社名表示の撤去
  • ・廃材の搬出・処分
  • ・室内クリーニング

ただし、どこまで元の状態へ戻す必要があるかは、物件や賃貸借契約の内容によって異なります。

店舗の場合は、内装や設備を撤去し、建物の構造部分が見える状態まで戻す「スケルトン返し」が必要になることもあります。

工事を始める前に確認すべきこと

原状回復工事をスムーズに進めるためには、施工会社へ見積もりを依頼する前に、契約内容やビルのルールを確認することが重要です。

特に、以下の項目を確認しておきましょう。

  • ・退去予告の期限
  • ・原状回復工事の範囲
  • ・引き渡しの期限
  • ・スケルトン返しが必要かどうか
  • ・ビル指定業者の有無
  • ・A工事・B工事・C工事の区分
  • ・工事申請書や作業届の提出期限
  • ・夜間・休日施工のルール
  • ・搬出経路やエレベーターの利用条件
  • ・鍵や入館証の返却方法

契約書に「原状回復」と記載されていても、必要な工事範囲が明確ではない場合があります。

どの設備を撤去し、どの状態まで戻す必要があるのかを、管理会社やオーナーへ事前に確認しましょう。

テナント原状回復工事の流れ

テナント原状回復工事は、一般的に以下のような流れで進めます。

1.賃貸借契約書を確認する

まずは、賃貸借契約書や特約事項を確認します。

退去予告の期限、原状回復の範囲、工事完了の期限、指定業者の有無などを確認しましょう。

入居時の図面や写真が残っている場合は、工事範囲を整理する際の参考になります。

2.管理会社やオーナーへ退去を連絡する

退去日が決まったら、契約内容に従って、管理会社やオーナーへ退去の意思を伝えます。

その際に、原状回復工事のルールや、必要な手続きについても確認します。

物件によっては、指定の書式による解約通知書の提出が必要になることもあります。

3.原状回復工事の範囲を確認する

次に、どの設備を撤去し、どの状態まで戻す必要があるのかを確認します。

例えば、以下のような項目について、事前に認識を合わせておくことが重要です。

  • ・床材を部分補修するのか、全面張り替えするのか
  • ・壁紙やクロスを張り替える必要があるのか
  • ・照明器具を撤去するのか、残すのか
  • ・電気配線やLAN配線をどこまで撤去するのか
  • ・空調設備や給排水設備をどの状態まで戻すのか
  • ・看板やサインをどの範囲まで撤去するのか

工事範囲が曖昧なまま進めると、工事完了後に追加対応が必要になる場合があります。

4.施工会社へ現地調査を依頼する

原状回復の範囲を確認したら、施工会社へ現地調査を依頼します。

現地調査では、室内の状態、撤去する設備、搬出経路、作業可能な時間帯などを確認します。

一般的には、以下のような項目を確認します。

  • ・テナントの面積
  • ・間仕切り壁や造作家具の有無
  • ・床・壁・天井の状態
  • ・照明器具や電気設備の状態
  • ・空調設備や給排水設備の状態
  • ・電話配線やLAN配線の状況
  • ・看板やサインの撤去範囲
  • ・搬出経路やエレベーターの利用条件
  • ・夜間・休日施工の必要性

5.見積もりと工事内容を確認する

現地調査の結果をもとに、施工会社から見積もりが提出されます。

見積もりを確認する際は、工事費だけでなく、追加費用が発生する可能性のある項目も確認しましょう。

  • ・養生費
  • ・搬出費
  • ・廃材処分費
  • ・清掃費
  • ・夜間・休日施工費
  • ・駐車場代
  • ・共用部の使用に関する費用
  • ・指定業者へ依頼する工事費

不明な項目がある場合は、工事開始前に確認しておくことが重要です。

6.工事申請書や作業届を提出する

オフィスビルや商業施設では、工事開始前に、管理会社へ工事申請書や作業届を提出する必要があります。

工事内容によっては、工程表、作業員名簿、搬出入計画、養生計画などの提出を求められる場合もあります。

承認までに時間がかかることもあるため、余裕を持って準備しましょう。

7.什器や備品を搬出する

原状回復工事を始める前に、机、椅子、収納家具、複合機、備品などを搬出します。

不要な什器や備品を処分する場合は、引っ越し会社と施工会社のどちらが対応するのかを事前に整理しておきましょう。

大型什器や重量物がある場合は、搬出経路やエレベーターの利用時間についても確認が必要です。

8.原状回復工事を実施する

荷物の搬出が完了したら、原状回復工事を実施します。

工事内容に応じて、内装の撤去、床や壁の補修、電気設備の復旧、配線の撤去、清掃などを進めます。

稼働中のビルでは、他のテナントへの影響を抑えるため、夜間や休日に工事を行う場合があります。

9.完了確認を行う

工事完了後は、管理会社やオーナーの立ち会いのもとで、仕上がりを確認します。

契約内容や事前の打ち合わせ内容に沿って、必要な工事が完了しているかを確認しましょう。

修正箇所がある場合は、引き渡し日までに手直しを行います。

10.鍵や入館証を返却し、引き渡す

工事完了後に問題がなければ、鍵、カードキー、入館証などを返却し、テナントを引き渡します。

返却物が不足していると、再発行費用などが必要になる場合があります。

事前に返却物の一覧を作成し、漏れがないか確認しておきましょう。

原状回復工事で行う主な工事内容

テナント原状回復工事では、物件の用途や入居中に行った内装工事によって、必要な作業が異なります。

主な工事内容は、以下のとおりです。

  • ・内装解体工事
  • ・間仕切り壁・パーティションの撤去
  • ・造作家具・什器・カウンターの撤去
  • ・床材・タイルカーペットの撤去や張り替え
  • ・壁紙・クロスの張り替え
  • ・壁や天井の補修・塗装
  • ・照明器具・電気設備の撤去や復旧
  • ・電話配線・LAN配線の撤去
  • ・空調設備・換気設備の撤去や復旧
  • ・給排水設備の撤去や復旧
  • ・看板・サイン・社名表示の撤去
  • ・廃材の搬出・処分
  • ・室内クリーニング

店舗や飲食店では、厨房設備、ダクト、給排水設備などの撤去が必要になる場合があります。

また、建物全体の安全性や設備管理に関わる工事については、ビル指定業者による施工が求められることもあります。

スケジュールを組む際のポイント

原状回復工事を進める際は、引き渡し日から逆算して、余裕のあるスケジュールを組むことが重要です。

特に、以下の工程を整理しておきましょう。

  1. 退去予告の期限を確認する
  2. 管理会社やオーナーへ退去を連絡する
  3. 原状回復工事の範囲を確認する
  4. 施工会社へ現地調査を依頼する
  5. 見積もりを確認する
  6. 工事申請書や作業届を提出する
  7. 什器や備品を搬出する
  8. 原状回復工事を行う
  9. 完了確認と手直しを行う
  10. 鍵や入館証を返却し、引き渡す

工事内容によっては、材料の手配や各種申請に時間がかかる場合があります。

また、夜間や休日しか工事ができない物件では、作業可能な時間が限られます。

工事完了後の手直しも想定し、引き渡し期限の直前ではなく、早めに施工会社へ相談しましょう。

トラブルを防ぐための注意点

テナント原状回復工事では、工事範囲や費用、工事日程をめぐって、認識の違いが生じることがあります。

トラブルを防ぐためには、以下の点に注意しましょう。

工事範囲を明確にする

どこまで撤去し、どの状態まで戻す必要があるのかを、管理会社やオーナーへ確認しましょう。

契約書だけで判断できない場合は、現地で立ち会いを行い、工事範囲を整理することが重要です。

指定業者の有無を確認する

物件によっては、電気設備、空調設備、防災設備などの工事を、ビル指定業者へ依頼する必要があります。

指定業者の確認が漏れていると、見積もりのやり直しや、工事日程の変更が必要になる場合があります。

見積もりの内訳を確認する

工事費だけでなく、養生費、搬出費、廃材処分費、清掃費、夜間施工費などが含まれているかを確認しましょう。

工事開始後に追加費用が発生する可能性がある項目についても、事前に確認しておくことが重要です。

余裕のある工程を組む

原状回復工事が完了しても、管理会社やオーナーの確認後に、手直しが必要になる場合があります。

引き渡し期限の直前に工事を完了するのではなく、修正対応ができる期間を確保しておきましょう。

まとめ

テナント原状回復工事は、退去するテナントが、契約内容に基づいて室内や設備を元の状態へ戻すための工事です。

工事をスムーズに進めるためには、退去予告、契約内容の確認、現地調査、見積もり、工事申請、什器の搬出、原状回復工事、完了確認、引き渡しまでの流れを整理することが重要です。

また、原状回復の範囲や指定業者の有無は、物件によって異なります。

退去日が決まってから慌てて準備するのではなく、余裕を持って管理会社や施工会社へ相談しましょう。

Jテクノでは、テナント退去に伴う原状回復工事をはじめ、内装解体、スケルトン返し、設備撤去、B工事など、幅広い施工に対応しています。

オフィスや店舗の原状回復工事をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。


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